ピレネー山脈を越えて 〜1日目〜【星の巡礼】

巡礼のスタートは、サン=ジャン=ピエ=ド=ポーから始まる。

「フランス人の道」と呼ばれるこのコースは、最も人気のあるコースだ。

 

およそ800km、サンチャゴ=デ=コンポステーラを目指す。

ルールは特になく、歩きでも自転車でも、バスを使ってもいい。いずれにしても、辿り着けさえすればいいのだ。

 

出発は朝。まだ日が昇らぬうちに宿を出る。

少し坂を登ると、町が雲海に呑み込まれていた。

夏特有の清々しく冷たい空気が満ちている。まだ町が寝静まっている頃、羊が活動を開始していた。

 

初日最大の山場が、ルート上の最高高度1400mにもなるピレネー山脈越え。

厳しい登りの上、強く吹き付ける風。向かい風で転びそうになる中、一歩ずつ確実に進んでいく。

約70cm。ゴールに対してはあまりに小さな一歩だけど、僕らはそれでも足を止めることはしない。

 

フランスからスペインへと国境を跨いでいく。

スタンプとは、巡礼者が持つ身分証明書に押してもらうものだ。

巡礼を行ったという証明にもなるので、巡礼者はこの手帳を大切にしなければならない。

 

山頂では他の巡礼者たちが満足感を胸いっぱいにして、休息を取っている。

彼らとの挨拶は決まっている。

「ブェン・カミーノ」

良き巡礼を、という意味のスペイン語だ。

国籍も、性別も、身分も何も関係なしにこの言葉をみなが口にする。

11世紀から続く巡礼の中で、ずっと続いていることのうちの一つだろう。

 

時として道無き道を歩く必要がある。

方向が分からなくなったとしても、僕らはたった一つの目印を頼りに歩いていく。

それがこのマーク。巡礼のシンボルである帆立貝をモチーフにしたマークだ。

道端に、街中に、至る所に存在する。

巡礼者は、バッグに帆立貝をつける。これもまた、巡礼者であることの証なのだ。

 

ピネレーを越えた先にある町、ロンセスバリェスで宿泊。

おやすみ。そしてまた、ブェン・カミーノ。

 

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歩行距離:29.88km

 

累計距離:29.88km

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