ピレネーを越えると、山の厳しさはどこへやら。
のんびりとした風景の中を歩いていく。
牧場で牛と日の出を望む。
インドの牛とは、どことなく顔つきが異なるような気がした。
連日、朝早くから歩く。
これまでの人生にはなかったことだ。そして、きっと巡礼の後にもないのではないかと思う。
だけど、今、こうして歩いていることには意味がある。
どんな意味がかって?それを探すために、サンチャゴへと向かっているのかもしれない。
巡礼路は、決して優しいだけの道ではない。
毎年、命を落としてしまう人がいるほど。
そういった人たちへの、一つの鎮魂としてか、道には慰霊碑が建てられている。
それでも歩みを止めてはいけない。
時には慎重に、時には大胆に進んでいかなければならない。
もちろん、ペースは人それぞれ。
歩きたくなった時に歩けばよい。
巡礼3日目、パンプローナという比較的大きな街に着く。
巡礼中に通る町は、とても小さい。
商店がない、なんて場所もざらにあるのだ。
だから、ちょっとした規模の街はとてもワクワクする。
フランスから入ると、パンプローナはスペイン側で最初の大きな街だ。
スペインの文化、ピンチョスをいただく。
よく冷えたビールに、ピンチョスを2品。
ウニのクリーム焼きはこの店の看板メニューだとか。
もう一品は、半熟の卵が入ったホワイトソース。揚げたじゃがいもや、バゲットを付けて。
食事というのは、巡礼中の最大の楽しみの一つだと思う。
日が昇る前から歩き、日が昇り切る前には宿に入る。
一般的なスペイン人との生活リズムも異なるため、敢えて時間を作らなければ観光するのは簡単ではない。
だから、食することがスペインを感じる一つの方法となる。
同時に、食べること、飲むことの大切さや嬉しさを噛み締めることもできる。
節約のため、朝昼はスーパーで買ったバゲットにハムかチーズを挟んで食べていると、尚更ね。
楽しい時間はあっという間に過ぎていく。
また歩き始めよう。
きっと、次も楽しいことが待っているから。
Buen Camino.
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9/17 ~ 9/19
サンジャン・ピエ・ド・ポー 〜 ロンセスバリュス 〜 スビリ 〜 パンプローナ
総歩行距離:83km