2018年3月6日、福岡発香港行き。
約15kgのバックパックを一つ。
これから先、どこに行くのか、何をするのか・・・考えも何もあったものではない。
ただ、漠然と旅がしたかった。
多くのいわゆる名所を訪ねた。多くの旅人や現地の人々に出会った。
様々な文化や考えに触れて、たくさんの刺激をもらった。
だけどそれは、旅に出る前に想定していたものではなかった。
全くの想像外からの一撃。
ワクワクするようなクリティカルヒットは、どこかにあるはずだ。
そんな一撃を求めて、旅をするのかもしれない。
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香港で泊まった重慶大厦。久しぶりのバックパッカーの感覚を思い出させてくれた。
中国の安くて美味い飯はおかえりと言ってくれたような気がした。
タイのXP旅は自分の中の新しい可能性を感じた。
ラオスの友人は8年前と変わらない笑顔で迎えてくれた。
ミャンマーの鉄道から見た夕日。意味もなく心が震えた。
バングラデシュのエネルギーは、単に人口が多いからという理由だけではないだろう。
インドの伝統楽器タブラを学んだ。文化や慣習が、楽器によく反映されていた。
トルコのビアバーで飲んだエフェスビールの味。シメのムール貝。
フランスで驚いたことは2つ。物価の高さと、モネの睡蓮。
スペイン、800kmの巡礼。疲れた記憶よりも、仲間たちと笑ってワインを飲んでいる記憶の方が強い。
ポルトガルの坂道と港が、どれだけ美しいか知っているかい。
しばらくぶりにアラビア語を話したモロッコ。素敵な出会いが連続した。
エジプトの海、これだけはいつになっても色褪せずに記憶に残るだろう。
日本。成田空港で背負い直したバックパックは、いつの間にか20kgを超えていた。
その重みは、旅の軌跡。安心感。
帰国したらまず何をする?なんて長期旅行者の間では定番の質問。
日本食を思う存分飲み食いする。銭湯に行く。
色々と考えたけれど、実際に日本の空気を吸ったら全く別の答えが浮かんできた。
ふと、ある言葉を言いたくなった。深い意味はない。
特定の誰かに、あるいは誰にともなく。
ちょっとそこまで、が行き着いた究極。それが旅のきっかけなんだと思う。
大層なことをしているように見えるかもしれないけれど、コンビニに行くことと大して変わりはしない。
たまたま気まぐれを起こして、一つ隣のコンビニまで行っただけ。
知らなければ知らないところほど、案外面白いことが転がっていたりする。
それに気が付けば、また一つ先へ、一つ先へと足を伸ばしてみるようになった。
コンビニに行くことが日常の一コマのように、
旅をすることだってただの日常。いつも通り。
だから、いつも通りの。
ただいま。
@Tokyo 2019. May. 28
(2018. Mar. 06 〜 2019. Apr. 30)
旅の終わりに。
悠