ミャンマーの都市、パガンは遺跡群の中にある。
名前からピンとくるかもしれないが、パガン朝ビルマの首都である。
当時から連綿と続く、由緒ある都市の一つということだ。多分。
大きい町ではないのだけど、数千にも及ぶ遺跡の点在によってまるで遺跡とともに生活しているような気分になれる。
そんな町での主な移動手段はE-バイク。つまり、電気バイクとなるわけだが、これがものすごく快適なのだ。
キーを刺してONに合わせて回す。それから右手ハンドルをくるりと捻ればスーッと進んでいくのである。楽ちんとはまさにこのこと。
これが半日借りるとして、およそ160円なのだから、ミャンマーは大したものなのだ。
ところで、僕はバイクというものに浅からぬ縁がある。かつて2度目の卒業旅行と称してラオスを訪れた際に、病院に運ばれたという経歴がある。
内容は省略するが、これが俗に言う「ルアンパバーン山賊襲撃事件」である。
かくして右肘は骨が丸見えという状態に追い込まれたユタカ青年は、地元住民と接触、病院の場所を尋ねることに成功。
住民曰く、
「あっちだ、その腕じゃ大変だろうが頑張れ」。
・・・いや行けないよ。
なんとか住民を運転代行させることに成功したユタカ青年は、無事に病院に辿り着き、手術を乗り越えたのだった。
ちなみに、手術の際に医者は友達とライン通話しながら縫合していたという・・・。
死闘の末の写真をお見せしたかったが、手元に残っていないのが悔やまれる。
(数年前に酔っ払って携帯を失くしてしまったためだ。これが俗に言う「第3次iPhone紛失事件」である。)
話は逸れたが僕とバイクとの因縁を感じ取って頂けたかと思う。
性懲りも無く、いや、その天性のポジティブを遺憾なく発揮した結果、当然パガンにおいてもバイクのレンタルを決行。
そのことについて「いや、これは電気だから別物」とは本人の弁。
ともかくとして、パガンはバイクで回るべきなのである。
少し想像してほしい。
抜けるような青空と照りつける陽の元、風を切ってどこまでも続くかのように思われる道を走る。
交通量も少ないので何かを気にしながら走る必要もなし。
左右に頭を振れば、かつて栄えた都が建造した仏塔が誇らしげに立っている。
疲れたら、川沿いのカフェで一休みだ。
雄大な川を見ながら飲むレモネードは格別であることは想像に難くないだろう。
6匹の可愛いチビワンコに癒されること請け合いである。
夕方が近づいてくる。
これだけ空が綺麗なのだから、当然夕日も素晴らしい。
バイクで走りながら眺めるののも勿論よい。
だけどここは落ち着いて堪能したいところだ。
遺跡に登ってパガン全体が赤く染まる様を見るもよし。
そこら中にぽつりぽつりと並ぶ仏塔が夕日に飲まれていくのは、なんだかずっと見ていられる。
ボートで川に繰り出して優雅な夕暮れ時を過ごすもよし。
船内ではお茶とお茶受けまでついてきて、一人400円程度なのだからミャンマーはやはり大したものである。
2~3時間ぼーっとする時間をたまには作ってもよかろう、生き急ぐことはないのだ。
ただし注意されたし。
雨が降った翌日は道のぬかるみが想像を遥かに超えてくる。
電気バイクでは馬力不足でハンドルを取られてしまう。
結果、山賊の襲撃を招きかねないのである。
—picts of Pagan, Myanmar
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